……あっつ。
何のひねりもなく、そう思う。
秋なのにあちー! って。
そもそも、あたしゃ「暑い」って状況が好きくないわけ。
汗っかき(父親ゆずり)だから。
くせっ毛(母親ゆずり)だから。
くせっ毛と汗っかきは、カンケーないじゃん、と思われるかもしれないけど、
そーでもないんだなー。
汗かくでしょ、そしたらね、髪の毛が湿って「くるんっ」ってなるの。
その「くるんっ」が、嫌なの。
ムカデみたく嫌なわけ。
雨が降って髪が「くるんっ」ってした時なんか、よく分からんけど武士に切り殺されたくなる。
よーするに、反対票一票投じたいわけ。「くるんっ」に対して。
だのに、時々女の子なんかに、「くせっ毛、うらやましー」と言われると、
「そう?」
と可愛くはにかんじゃうキクチがいるわけ。
そんな自分にも、反対票投じたいわけ。
思えば、大学時代が一番の自分の「くせっ毛時代」だったと思う。
ちょっと汗かいて、髪の毛が巻くたびに、その巻き具合をトイレの鏡にチェックしにいってたもんなー。
授業中だろうが、なんだろうが。
またね、大学の1、2回生の時、なーんか微妙だったわけ。
物凄く自意識過剰で、大学にゴミみたいな知り合いを除いては、まーたく友達つくんなかったし。
マルボロライトメンソールの空箱、何でかテレビ台の下に、びしーってキレイに並べたりしてたし。
夜中に、バイクの大きな音に怯えたりしてたし。
まあ、なんだ……かるーく気がフレかけてたって言うの?
まあ、精神もちょっとくせっ毛だったわけだ。
そんな時期だったから、もう汗をばんばんかくわけ。
普通に大学構内を歩いていても、「あ、あいつオレを見て笑ってる」とかスタンダードな妄想を考えて、汗かくし、
女の子の横を歩くだけで、汗かくし、
男の子の横を歩いただけでも、汗かくし、
ほーんと、よく汗をかいた2年間だったと思う。
そうして汗をかくたび、トイレ行って、トイレットペーパーで顔をふいてた。
あん時、ハンドタオルを持つっていう文化が自分の中になかったから。
トイレットペーパーって、カスがよく顔に付くんだ。うっとしかーったなあ。
で、うっとうしがったらまた、汗が出てくる。
うんざり。もう、思い出しただけで山瀬まみ(意味不明)。
今だって汗っかきだけど、あん時の汗とは明らかに中身が違う。
もっとサラサーティな気がする。
やっぱ、自意識がふんだんに盛り込まれていた分、あの時の汗は、粘ってたなあ。
とにかく自分を他人に知らしめたくてしょうがなかったんだねえ。
他人というのっぺりした壁に向かって、
粘土みたいな自意識、ぶつけまくってたわけだ。
すご~く、ひっそりと。
まあ、今だってそりゃ、自意識過剰だけども(三日に一回は、呼ばれてないのに返事する)。
質は変わりました。
少なくとも、笑える。自分のくせっ毛を笑える。
10年くらいたったけど、まあ、成長した部分なんて、そんなもんかなって思います。
つーか、成長なんて、そもそもそんなものなのかしら?
それでも、過去へ戻れたら、
10年前の自分には、
「その、新野新ばりに肩パットの入った、足首まである真っ白なロングコートはやめたほうがいい。数年後、死ぬほどみんなに馬鹿にされることになるから」
とアドバイスしようと思う。
白のロングコートって……。
フレてたんだねえ、気が。